【神戸阪急店 店長】美味しい紅茶の入れ方

皆さんこんにちは。神戸阪急店店長の笹岡です。

秋が近づいてきて庭の花のつぼみ達も徐々に花開いてきました。
バッタも飛び跳ねなんだか過ごしやすそうです。


紅茶専門店で勤めていて、お客様からの質問で一番多いのが「美味しい紅茶の入れ方」についてです。
一般のお客様はもちろん、新しく飲食店を開かれる方からもよくお問い合わせをいただきます。インターネットで調べても、紅茶の専門書を読んでも、商品パッケージに記載している手引き通りにしてみても何でか上手く入れれない。美味しくならない。そんな経験ありませんか?

今日はそんな美味しい紅茶の入れ方についてお話ししていこうと思います。

ゴールデンルールについて
良質な茶葉を使う
新鮮な沸かしたてのお湯を使う
茶葉の分量をはかる
ポットを温める
蒸らし時間をはかる
一番大切なこと


ゴールデンルールについて

美味しい紅茶の入れ方を調べていると必ずと言って良いほど、どこの紅茶専門店のページでもこの言葉が出てきますよね。「またか」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでもゴールデンルールについて説明をしていきますが、初めての方も「もう知っているよ」と言う方もぜひ最後まで読み進めてください。

紅茶消費国で有名なイギリスでは、美味しい紅茶を楽しむための5つのルール【ゴールデンルール】というものがあり、日本にも流通し紅茶の入れ方の基本となっています。

1.良質な茶葉を使う
2.新鮮な沸かしたてのお湯を使う
3.茶葉の分量をはかる
4.ティーポットを温める
5.蒸らし時間をはかる


これが基本のルールです。
では、僕の考えも含めひとつずつ解説していきますね。

1.良質な茶葉を使う
これは高級な良い茶葉を使うという意味ではなく、しっかりと保存され劣化していない茶葉を使いましょうということです。直射日光、湿気を避けた場所でしっかり密封し常温保存をされた賞味期限の切れていない茶葉を使用しましょう。

ただし、紅茶というのは酸化発酵しているので腐ることはありません。
賞味期限が多少過ぎていたとしても、保存さえしっかり出来ていれば賞味期限後も特に問題なく楽しめます。

※冷蔵庫で保存していると出し入れの際に中で結露してしまいカビの生える原因になります。
また冷蔵庫の中の香りを茶葉が吸収してしまい香りの飛ぶ原因になります。
紅茶は冷蔵庫の中に入れず常温保存をしてください。


2.新鮮な沸かしたてのお湯を使う
【新鮮な】というのは空気をたくさん含んだ水のことです。簡単に言うとくみたての水道水を使ってくださいねということです。くみたての水道水をしっかり沸騰させましょう。
水道水ではなくミネラルウォーターを使いたい方は、しっかり振って空気を含ませてから使用すると軽く運動も出来、美味しい紅茶も入れれるので良いですよ。

よく「100℃のお湯で蒸らしましょう。」と言われておりますが、家庭用のコンロだとなかなか100℃まで上がりませんし、時間がかかってしゃーないです。いちいち温度を測るのも面倒臭い。というのが僕の本音です。

ボコボコと沸騰すればオッケーです。なんなら電気ケトルでオッケーです。
気楽にいきましょう。うちは毎朝、電気ケトルで沸かしてます。早くて楽ちん。それが良い。


3.茶葉の分量をはかる
茶葉の量はティーカップ一杯につき3gが基本です。
容量500mlのティーポットで楽しむ場合茶葉6g〜9gを使用するとカップ2〜3杯楽しめます。

茶葉6gで大体ティーポットの真ん中あたりまでお湯を注ぎます。9gでティーポット満タン。
ティーメジャースプーンをお持ちの人は2〜3杯すくってください。
お持ちでない人は小さじ2〜3杯と覚えてくださいね。

また、一杯分だけ作るならティーバッグで十分です。茶葉で一杯分を作るよりも、ティーバッグの方が美味しく簡単にいれることが出来ます。
朝、時間があまりない時や、職場で仕事の合間にほっと一息つきたい時は、お気に入りのマグカップにティーバッグをひとつ入れて気軽に楽しむ。お茶の時間をゆっくり楽しみたい時は、茶葉をティーポットに入れてカップに注ぎ一杯目、二杯目の味と香りの変化を楽しむ。

その時々の気分でアナタだけのティータイムを堪能してください。

4.ポットを温める
茶葉をいれる前にティーポットをあらかじめ温めておきましょう。
紅茶は温度が大切なので、熱湯を注いだときに急激に温度が下がらないようにしておきましょう。

この一手間だけで味や香りの出方が変わります。
僕はこの温めた後に茶葉を入れる時の、その紅茶の香りがほわっと立ち上がってくる瞬間が好きです。

そのあと熱湯を勢いよく注ぐと香りがブワワーっと周りに広がるのも、これまた好きです。口に含む前から美味しい。お湯を注ぐときの音も美味しい。

5.蒸らし時間をはかる
茶葉の細かいものは3分、大きいものは5分が基本となっています。
大きい葉はなぜ蒸らし時間が長いかというと、葉が開くのに時間がかかるからです。
紅茶は葉が開かないと成分がしっかり出てくれません。味、香りを楽しむためにもしっかりと蒸らし葉が開くのを待ちましょう。

イギリスでは、この待ち時間に友人や家族とコミュニケーションを取りながら葉が開くのを楽しみにしているそうです。僕は洗い物をしたり、本や動画を見たり、妻と会話をしながらこの時間を堪能しています。


一番大切なこと
以上が基本のルールなんですが、ゴールデンルールというのはあくまで基本なだけです。
このルールを守ったからっと言って必ず美味しい紅茶が飲めるわけではありません。

紅茶は嗜好品です。好みの味は人それぞれ違います。

僕の好きな味がアナタが必ず好きとは限りません。アナタの好きな味が僕の好みとも限りません。紅茶に『絶対』も『正解』も『間違い』もありません。アナタにはアナタの『好き』があるはずです。

基本通りに入れたけど渋くて飲みにくいのなら、差し湯やミルクを入れて好みの味に調整しましょう。逆に薄くて物足りないのなら蒸らし時間を長くするか、茶葉の量を少し増やしてみましょう。

「蒸らし過ぎちゃった!差し湯で薄めよ〜」
「味が薄いな。もうちょっと蒸らそ〜」

それくらいの気持ちで良いのです。紅茶を入れるのって実は何も難しくないんです。とても簡単で気軽に楽しめるものなのです。

温度や時間、茶葉の量、それも確かに大事です。でも、一番大切なのは気軽に楽しむ気持ちです。
多少、ズボラだっていいじゃない。毎日入れてたら勝手に体が、舌が、覚えますよ。
ムジカティーの店長が言うんだから間違いないです。
もっと気軽に紅茶をいれる時間も含めてお茶の時間を楽しみましょう。

アナタの好きな味が見つかりますように。

それでは、今日はこの辺で。
またお会いしましょう!

神戸阪急店 店長 笹岡