【神戸阪急店店長】英国一人旅 ⑱

「さぁ、着いたよ。」

草木をかき分けて到着した茶畑は茶の樹が綺麗に整っていて、茶畑の綺麗なグリーンと空とその空の色が映った川のコントラストが本当美しい。
スリランカや日本で見た茶園と比べると茶畑の規模は大きくはないけれど、でも、こんなに美しい茶畑の景色を見たのは初めてかもしれない。

おひさまの香り、茶畑の香り、澄んだ川の香り。

心地良い風。

目を閉じて、スーハー、スーハーと何度も深呼吸をしました。

茶畑からみえるこの川があることで茶樹の生育が上手くいっているとロードは言います。

トレゴスナンがあるコーンウォールは大西洋に面した恵まれた環境で、その海からの暖かい空気が11マイル離れた茶園に届くまでに塩分が減少し、まるでヒマラヤ山脈を彷彿とさせる湿った空気(霧)が作り出され、冬には茶園を含むこの庭園を霧と比較的な暖かさで包みます。

「英国でお茶は育たない。」

そう言われ続けていた英国ですが、このトレゴスナンのヘッドガーデナー、ジョナサン・ジョーンズ氏は、冬の寒さが厳しいインドのダージリンや日本でも茶の栽培が出来ていること、ダージリンから移植した他の植物がトレゴスナンで元気に根付いていることなどから、お茶の木もこの地で育つのではないかと取り組みを始められました。

「トレゴスナンで最初にお茶の木を植えたのが1999年。」
「それ以後試行錯誤を重ねて、2005年に少量ながら販売することに成功したんだよ。」

その紅茶は、中国種のお茶の木から作られたもので、茶葉は手摘み、ハンドロールで仕上げられたものだったのだとか。現に今このリバーガーデンに植えられているお茶の樹は、中国種と日本の茶樹の2種だとロードが教えてくれました。

とはいえ、生産量はインドやスリランカなどの生産国と比べるとごくごく僅か。
トレゴスナンで販売されている紅茶は、インドや中国の紅茶をベースに少量だけトレゴスナンの紅茶をブレンドしているものがほとんどです。

それだけシングルエステートで販売することはまだまだ難しいのです。

茶畑を見学し、茶摘み体験をした僕たちはテイスティング体験をしに再び集合場所のショップに戻りました。


つづく