
皆さんこんにちは。神戸阪急店店長の笹岡です。
7月20日(日)紅茶教室スシーラティーさん主催の『堀江敏樹さんを囲むお茶会』に参加してきました。
ムジカティー二代目である堀江敏樹 通称T-San。
ムジカティースタッフ内ではマスターと呼ばれており、従業員からもお客様からも多くの方から親しまれていたマスター。
僕は芦屋からの従業員なので10年くらいのお付き合いになるものの、実際マスターと同じ空間で働いていたのは3年くらいかな。一時期体調を崩され入院されてから足腰の筋力が落ちてしまい、それまで毎日お店に足を運ばれていましたがその回数も減り。
それでも会うたびに「ボクは今日もいてるか?」と声をかけてくださり、
「何か紅茶のニュースはあるか?」「毎日紅茶飲んでるか?」「ブレンドはストーリーが大事や。」「紅茶は好きか?」と、直接手取り足取り何かを教わったわけではないけれど、いつも大切なことを気付かせてくれる、教えてくれる紅茶の先生です。
神戸阪急店がオープンしてからお会いすることが出来ず、今回のお茶会で約2年ぶりの再会でした。
お茶会では皆でムジカティーのピーククオリティーヌワラエリヤを楽しみながらマスターの昔話を楽しみました。
1952年堀江敏樹の父、堀江謙吉がお音楽評論家であったことからムジカの歴史が始まります。
当時は音楽喫茶としてお客様皆さんが各々聞きたいレコードを持ち寄り、好きな音楽を聴きながら紅茶を楽しむ場として始まったTea Saloon MUSICA。
1969年堀江敏樹により日本における最初のティー・ ハウスとして店内を改装し、名称をTea House MUSICAに変更。当時はダージリンやアッサム、セイロンティー(ヌワラエリヤ)など取り扱っている紅茶の種類は少なかったのですが、1971年に紅茶の輸入の自由化が始まり様々な産地の紅茶を取り扱うようになり今に至ります。
昔話に花が咲き、参加されていた皆さんが皆にこやかに過ごされていていました。
時には「へぇ!」と感心され、時には「あっはっは!」と笑い声が響き、あの時の空間は凄く心地の良いものでした。
このお茶会で何度もマスターが「紅茶は無理やり好きになるものじゃありません。どうか皆さん自然に好きになっていってください。」と言っていたのが印象的でした。
「紅茶は頑張って飲むものじゃない。」
「僕は紅茶の渋みが好きです。渋みを好きになることで初めて紅茶それぞれの味わいの違いが理解し楽しめるようになります。」
「紅茶の渋みはね、ハマっていくものなんですよ。」
紅茶に添加物は必要ない。フレーバーなどの添加物を使用してしまうと紅茶はどうしてもそれに負けてしまう。紅茶はそのままが一番おいしい。その美味しさに気付くためにはやはりティーポットでいれる必要がある。好奇心をもって、ハマっていって、自然と好きになり気が付けば毎日紅茶を楽しんでいる。そういう人たちが増えてほしい。そんな思いを語っていました。
マスターは昨年米寿を迎えられました。
お年を召され記憶も朧げなところも勿論ありました。
僕のことはもう覚えていませんでしたが、マスターは出会った時と変わらず楽しそうに紅茶のことを語られる人のままでした。
人生を終える時、もしも、今までの人生の中で出会った記憶に残る人々が映画のエンドロールのように流れるとしたら、マスターのエンドロールには僕の名前は載っていないかもしれないけど、僕のエンドロールにはお師匠枠でマスターの名前は残るだろうなぁ。とそんなことを考えていました。
マスターのこれからの人生で、思い出せなくなることが少しずつ増えてくると思うけど、どうか素敵な良い思い出だけが最後まで残っていきますように。
そして、僕はこれからもマスターの意思を受け継ぎ日常にある紅茶の普及に努めていきたいと思います!

それでは、今日はこの辺で。また、次回お会いしましょう。