ムジカティーを気軽に飲めたり、買えたりするお店を紹介します。
記念すべき一店舗目は、大阪弁天町の「Tea Room Leaf」さんです。
正統派紅茶と手づくりケーキのお店として、1985年に弁天町に開店。オープン以来、紅茶のおいしさと楽しみ方を伝えるために尽力されてきました。
そんな紅茶を深く愛する店主野口嘉孝さん にお話しを聞きました。
紅茶人生のはじまりは
ムジカだった。
「日本での紅茶の黎明期に、ムジカと出会いました。どうしても働きたいといって、働かせてもらったんですよ」
1970年代。珈琲にこだわる喫茶店は数あれど、紅茶をおいしく提供できる店はほとんどなかったという。
そんな中、大阪の堂島にあるムジカは紅茶をメインに営業しているらしいという噂が聞こえてきた。
「よい時代でした。紅茶メーカーですら、紅茶をどうおいしく提供するか模索していました。だから、ムジカに新しいお茶や知識が、集まってきていました。あの時代のムジカで勉強できたことが、今の土台を作っていると思います」
紅茶は、とにかく飲みなれることが必要なのだと、いう。
ムジカにくるまで、ティーポットで紅茶を飲んだことがなかった野口さんは、「渋い・苦い・濃い」となかなか味に馴染めなかったそうだ。
しかし紅茶を飲み続けていると、紅茶のおいしさがどんどんわかってくる。紅茶のバリエーションの幅広さ、奥の深さに魅せられていくことになった。
気がつけば、紅茶の魅力にすっかりはまり、抜けられなくなっていた。
野口さんの紅茶への深い知識と愛情は、ムジカでの修行時代に形作られ、そして自身のお店をもつことによって、さらに磨かれていったようだ。
一杯目はストレートで、
二杯目、三杯目はミルクを。
「ポットの中でじわっと茶葉が開いている間に、それぞれの地域の茶葉の味わいが抽出されてきます。また一杯目、二杯目、三杯目と杯を重ねると、同じお茶でもそれぞれのカップで違う味わいが楽しめる。こんな素晴らしいことはないなと思います」
「Tea Room Leaf」さんの紅茶は、ティーポットで提供され、カップ3杯分の紅茶がしっかり楽しめる。ポットの中で、茶葉がじっくりと蒸らされることによって、味の変化が楽めることは、紅茶の醍醐味だ。
一杯目は、できれば何も入れずに、爽やかな渋みと美しい水色、香りを楽しむ。二杯目以降は、ミルクや砂糖を加えて飲むのがおすすめ。
「じわっと出てくる紅茶の旨味・苦み・渋みが、ミルクというお友達と出会うことによって、すごくまろやかでコクがあって、甘味も感じるようになる。とてもおいしく飲めるんですよ」
ミルクが苦手な場合は、差し湯を使う。カップに入れた濃い紅茶に適度な量の湯を加えると、またおいしく飲むことができる。
そうやって自分流を探り、見つけていくことも紅茶の楽しみ方のひとつだ。
自家製ケーキやスコーンで
紅茶をより一層楽しんでほしい。
ショーケースに並んだケーキやスコーンは、すべて野口さんの手づくり。地元でも人気で、ケーキを目当てにお店に通う常連客も多いそうだ。
紅茶には焼き菓子が合うというイメージがあるが、そんなことはないという。
「焼き菓子が紅茶に合うといわれていますが、おいしいクリームや食材を使えば、ぜったいクリーム系も紅茶に合うんですよ。よいクリームを使えば使うほど、お菓子との相乗効果で、紅茶の旨味があがってきます」
こだわりの生クリームは、コクがあるのに後味はすっきりしている。紅茶との相性もとてもよい。いくつでも食べられそうだ。
スコーンのおいしい食べ方も教わった。横割りされているスコーンの断面に、自家製のリンゴジャムと生クリームをのせて、ぱくりと頬張る。そして紅茶をひとくち。
「そういう風に食べると口の中ですぅーっと溶けていって、リンゴの香りと、クリームの甘味が広がります。紅茶だけの時とは違う風味が楽しめますよ」
なるほど。口解けのよいスコーンが、紅茶と素早く一体となって、口内全体に広がり、紅茶とスコーンを別々に食べるよりも、より一層おいしく感じる。機会があれば、ぜひ試してほしい食べ方である。
おいしいお茶を
おいしく飲んでもらいたい。
紅茶の楽しみ方がわからない時は、気軽に尋ねてほしいという野口さん。右も左もわからない紅茶初心者には心強い言葉だ。
ティールームやティーサロンでは、メニューにたくさんの紅茶が並ぶ。アッサム、ダージリンなど一度は耳にしたことがあるものから、聞いたこともないような銘柄まで、ずらりと並んだ様子は壮観だ。
その中から好みの紅茶を選ばなければならないのは、なかなか難易度が高い。
「あまり紅茶を飲んだことがない方には、癖がなく、まろやかで香りがよくて、飲みやすい紅茶をおすすめしています。そういう意味ではディンブラや、アイルランドのブレンドティーもおすすめですね」
「こんな風にして飲んでみませんか?とアドバイスして、飲んでみたらおいしかったという感じになってもらえたらいいなと、思います」
すらすらとよどみなく語られる紅茶の知識。その言葉の端々に、紅茶への深い愛情を感じることができる。野口さんのエネルギーの大きさに、その原動力は何なのか気になって尋ねてみた。
「おいしい紅茶をおいしく飲んでもらいたい。それだけです」
野口さんは、少し謙遜しながらも、はっきりとした口調で教えてくれた。
その横顔には、長きに渡り紅茶に携わってきた自負と誇りが輝いていた。
Tea Room Leaf ティールーム リーフ
電話番号 | 06-6581-7747 |
住所 | 大阪市港区波除3-4-10 |
営業時間 | 平日10:00~21:00 日祝10:00~19:00 ※緊急事態宣言中は、営業時間が異なる場合がございます。 |
定休日 | 月曜日(祝日の月曜も休み) |
SNS | https://www.facebook.com/tearoomleaf/ |
2021年3月 取材・撮影