【神戸阪急店店長】ティーポットは2つ必要なの?

皆さんこんにちは。神戸阪急店店長の笹岡です。

先日、若い男性のお客様が初めてムジカティーにご来店された時のお話を今日はしようと思います。

背が高くすらっとした彼は店舗に入るなりキョロキョロと辺りを見渡し、定番商品のコーナーで立ち止まりプライスカードに書かれている説明書きをまじまじと見つめていました。

「よかったらお伺いいたしましょうか?」と尋ねると「いや、うーん…」と。

「うち、紅茶の種類が多いでしょう。お探しのものや気になるものがあったら何でも聞いてくださいね。」とお伝えすると「実は、自分で紅茶を入れたくて器具とか茶葉とか探しに来たんです。」と。

「おお!そうなんですね!良いじゃないですか~。お手伝いしますよ!」と、ひとしきり紅茶の案内をした後にお客様から「あの、YouTubeで紅茶を正しく入れるにはティーポットが2ついるって観たんですけど、ポットはどういうのを選んだら良いですか?」と質問をいただきました。

おぉ、久しぶりにこのダブルポット式の質問がきたぜと心の中で肩を回す僕。

「うちの考えでいくとティーポットは一つあれば十分です。」

「え?そうなんですか?」

「2つ必要と言っているのは茶葉抜き紅茶を楽しむために伝えていることだと思うのですが、紅茶の醍醐味ってその紅茶の味と変化を楽しむことだと僕らは考えています。」

「変化ですか?」

「そうです。ティーポットの中で茶葉が入ったままでいるとどんどん味と香りが変わっていくんですね。勿論、渋みも出ます。」

「渋みが出たら美味しくないんじゃないんですか?」

「紅茶にとって渋みというのはうま味のひとつでもあるんです。ただ、渋すぎて飲めたもんじゃない!という場合は差し湯するなりミルクを入れるなりすれば解決します。」

「なるほど!」

「それにお客様の場合、今は特に茶葉抜きよりも茶葉を入れたままで紅茶を楽しむことをオススメします。何故ならば、まだ『自分の好みの味と香り』を知らないからです。」

「カップに注ぐ一杯目、二杯目、三杯目。それぞれ味も香りも違ってきます。紅茶は嗜好品なので別に茶葉抜きで楽しんだって良いんですが、まだその紅茶の魅力を知らないうちから茶葉抜きで楽しむのはほとほと勿体ないと僕は思います。」

「確かに!僕、まだ何も知らないし勿体ないかも。」

「紅茶は嗜好品なので何が正しいとか、何が間違っているとか言い切ることはできないんです。お客様自身が美味しいと思ったらそれが正解だし。」

「茶葉抜きで入れて最初から味がドンピシャに好みだったら良いかもしれないけど、まぁそんなんなかなか難しいと思うんで茶葉を入れた状態でゆっくり探していけばいいと思いますよ。」

「はい!そうします!」

「なので、ティーポットはお客様のビビビッときたものを一つ選んで、気に入った紅茶と、気に入った茶器でティータイムを楽しめばもうそれだけで「美味し~~~!」ってなりますよ!笑」

「うおー!なんか早く家で紅茶入れてみたくなりました!笑」

いろいろ教えてくださってありがとうございます!と元気よくティーセットを購入して帰られました。
今後も彼に良き茶縁が巡ってきますように。

それでは、今日はこの辺で。また次回お会いしましょう。

神戸阪急店店長 笹岡